通信制高校へ編入・転入するには?単位引継ぎや時期の注意点

「現在、通っている高校が嫌なので辞めたい」「高校は中退したけど、高卒の単位は欲しい」という方にとって通信制高校がおすすめです。
すでに取得した他の高校の単位を引き継ぐことができるので、より短い期間での卒業を目指せます。
この記事では通信制高校への「転入」・「編入」の違いや、すでに取得済の単位引継ぎの方法を徹底的に解説していきます。
編入・転入の不安をできるだけ少なくして、自分に合った通信制高校を見つけましょう。

編入と転入の違いは?

「編入」と「転入」はとても似ている言葉ですが、意味は全く違います。
そして編入と転入の違いで、入学できる時期や卒業までの時間が大きく変わってきます。
「編入」とは学校を中退して別の学校へ入学することを意味しています。
「転入」学校在籍中に手続きを進めて別の学校へ入学することを意味します。
編入は中退しているので元の学校と次の学校の間の期間に空白が生まれてしまいますが、転入では高校に在籍している機関に空白が生まれません。
つまり一度高校を辞めてから通信制高校に入学することは「編入」となり、高校在籍中に通信制高校に転校するケースが「転入」となります。

編入と転入ができる時期は?

公立の通信制高校の場合は、編入・転入に関わらず4月に受け入れているケースがほとんどです。
また、欠員が出た場合に限りですが2期制が始まる前の9月あたりに募集することがあります。
私立の通信制高校の場合は、4月または10月に編入・転入できることが多いようです。
しかし、随時編入が可能な通信制高校も少なくありません。
転入の場合は転校と同じイメージなので、随時転入が可能なのが一般的です。
ただし、転入の場合注意しておくことがあります。それは誰もが2つの高校に在籍することが不可能なため、これまで通っていた高校からの転籍手続きをしなければなりません。

編入・転入が随時可能な通信制高校もある

入学時期が決まっている通信制高校の他に、随時編入や転入を募集している通信制高校があります。
以下の通信制高校は随時募集しているので、各学校の特徴などと一緒にチェックして、自分にあった高校を探してみてください。

• ヒューマンキャンパス高等学校
• さくら国際高等学校
• 飛鳥未来高等学校
• 飛鳥未来きずな高等学校

編入・転入での単位の引継ぎは?

編入・転入して通信制高校へ入学すると、以前在籍していた高校で取得した単位を引き継ぐことが可能です。
しかし、多くの全日制高校では学年性を採用しているため、単位を修得するのは進級のタイミングになります。学期ごとではなく、1年を通して授業やテストを受け合格して単位を取得した分だけが通信制高校に引き継ぐことが可能になります。
したがって、学年の半ばで編入・転入するとその学年で取得する予定の単位は引き継ぐことができなくなるので注意しましょう。
仮に高校2年半ばで中退し、通信制高校に編入すると、1年生修了時に修得した単位を引き継ぐことが可能です。

通信制高校は、単位制で卒業するためには全部で74単位が必要になります。通信制高校に編入後には残りの単位を取得する必要があります。
1年で中退してしまった場合には、修得した単位がないので単位の引継ぎは不可能です。
編入後の通信制高校で新たに74単位を最初から取得することになります。
転入の場合は同学年の人と同じタイミングで高校を卒業できるように、単位修得のためのカリキュラムを工夫してくれる通信制高校も存在します。

転入の時期と単位の修得状況に応じてすべき対策は変わりますので、学校に直接相談するなどするといいでしょう。

編入・転入から卒業までにかかる時間は?

通信制高校への転入・編入から卒業までにかかる時間は、以前に在籍していた高校でどのくらい単位を修得していたかによって左右されます。
全日制高校の場合は、1学年で30単位を修得できるので、1年生を修了して転入・編入すると卒業までに必要な74単位のうち、残り44単位を通信制高校で修得する必要があるということになります。
多くの通信制高校では1年間に修得できる単位数を25~30ほどとなっているので、卒業に必要な単位を修得するには最短でも2年の歳月が必要になります。
高校の卒業のために必要な単位数は74単位ですが、全日制高校の多くの学校では卒業までに80~90単位以上を修得します。
そのため全日制高校では1学年で30単位ほど修得することになります。

基本的に転入であれば同年代の人と同じタイミングで卒業できる可能性がありますしかし、3年生の後期のような卒業間近での転入の場合には通信制高校で年内のうちに単位を修得することが難しく、卒業のタイミングが1年遅れてしまうことがあります。
大学受験などにも関わることなので、通信制高校に問い合わせて、現在の段階でも卒業できるか確かめるようにしましょう。

一方、通信制高校への編入の場合は入学する時期が非常に重要になります遅れたら遅れた分だけ卒業に時間がかかってしまうからです。
年度の早い段階で編入しない限り、同年代の人と一緒のタイミングで卒業するのは厳しいでしょう。
ただし、通信制高校によっては卒業の時期が前期末と高期末の2回用意されている場合があるので卒業が遅れても半年程度で済む可能性があります。

編入・転入の試験内容は?

通信制高校へはそれぞれの事情を持っている生徒が入学してきます。
不登校であまり勉強ができなかった人や病気で毎日の通学ができない人、他にも様々な事情が人それぞれにあります。
そういった人たちを受け入れられるように通信制高校では、試験で学力の優劣を測るなどの生徒の選別を行わないのが一般的です。
新入学だけでなく、転入・編入でも同じです。入学の時は書類審査だけ、もしくは書類審査と面接のみという学校がほとんどです。
しかし、大学受験を目指すコースに限っては生徒の学力を測る必要があるため、学力試験を行う学校もあります。

通信制高校に編入・転入するメリット

通信制高校に編入・転入する最大のメリットとしては「高卒資格が取れる」ということになります。
高卒資格を取った後は、大学への進学を考える人が多いです。
現在は高校を卒業してから社会人になった人たちが、金銭的に余裕ができ学問を再び学びたくなったため大学へ進学するというケースが増えています。
専門学校へ行くのもほとんどの場合で高校卒業の資格が必要になります。高卒資格を取得しておけば、その後の進路の幅が格段に広がるでしょう。

通信制高校に編入・転入するデメリット

通信制高校に転入・編入するデメリットとしては全日制高校に比べると認知度が低くなってしまうということが挙げられます。
また、日々の生活の中で自分一人でも勉強を進めていく時間を確保し、学んでいく必要があるため、日々の学習課題を溜めてしまうという可能性も考えられます。

通信制高校への編入・転入に必要な手続きは?

一般的な通信制高校への編入・転入には以下のような手続きが必要となってきます。
学校によっては多少異なるケースもあるのであくまで一般的な参考として理解しておきましょう。

願書等資料の請求する

まずは入学を希望する通信制高校の資料を請求する必要があります。
案内書・願書の他に健康診断書なども入手する必要があります。
とはいっても資料を請求するだけでまとまって全て手に入るので特に心配する必要はありません。
基本的に各学校のホームページから簡単に請求することができます。

前籍校へ修得単位証明書発行の依頼をする

前籍校へ電話などで連絡をして、学籍・就学状況証明書・在籍期間中の教育課程表写し・取得単位証明書などを発行してもらい、郵送してもらう必要があります。
少々面倒ですが、とても大切なステップとなります。

書類に必要事項を記入・提出をする

願書や修得単位を証明する書類などを一式手に入れたこと前提です。
願書には住所や氏名の他にも、入学理由・退学理由などを記入する欄があります。
大まかでいいので空欄のないように丁寧に記入しましょう。
また、健康診断書も必要になるケースがあるので、近くの内科で健康診断を受け、お医者さんに内容を記入してもらうようにしましょう。(健康診断は各病院でほぼ一年中受けることが可能です)

面接に関する連絡を受ける

書類に不備などがなければ、面接の日程と場所に関する連絡が郵送されます。
書類に不備があるともう一度提出することになり、手間がかかるので記入ミスがないように注意しましょう。

面接試験を受ける

指定された場所と時間に本人が面接を受けに行く必要があります。
面接といってもそこまで厳しいもの内容ではないので、リラックスして臨むようにしましょう。

合格通知を受け取る

ここまで特に問題がなければ合格通知が郵送されてきます。
履修科目確認表も同時に郵送されてきますが、面接の際に同時に履修科目の確認を行うことが多いので、自分だけで履修科目を決めるということはありません。
打合せ通りに履修科目を決め、入学のしおりにもしっかりと目を通しておくようにしましょう。

履修科目確認表を提出する

履修科目確認表は郵送で提出すれば完了です。
履修科目確認表が届き次第、学費関係の用紙や教材が自宅に届きます。

学費を納入する

最後に学費を納入すれば無事入学です。学習も同時にスタートしていきます。
編入・転入の場合にはレポート提出の期限なども遅らせてくれるので、焦らずに慣れていきましょう。

編入・転入の学費はどのように決まる?

多くの通信制高校の学費は「卒業に必要な単位数」で決まります。
そのため、学費は受講する単位数によって変わってくることになります。
例を挙げると、1単位が5,000円であれば10単位受講すると50,000円になります。またこれとは別に施設や教材費等も必要です。
通信制高校の学費は単位数で決定するため、転入・編入ではリーズナブルな場合が多いです。
ただ、通信制高校の学費は学校によって異なるので、資料を取り寄せ、比較検討を怠らずにしっかりと決めるようにしましょう。

通信制高校から全日制高校への編入・転入は可能?

結論から申し上げますと、通信制高校から全日制高校への編入・転入は現実的に考えて厳しいです。
これは通信制高校と全日制高校における単位や出席日数に対する判断基準が全く違うためです。
一部の全日制高校では欠員が出た場合のみ、8月に編入・転入試験を実施するという学校もあります。
しかし、受験資格は通信制高校または定時制高校の1年生に限り与えられます。

早めに対応を

高校生の女の子
今回は通信制高校の編入・転入に関することを解説しました。
通信制高校への編入・転入という選択肢の他にも、いくつかの選択肢はあるのでそれらを比較してみることも大切です。
また、何事もなるべく早く行動することが大切となってきます入学の時期が限られている場合などは、行動するのが少しでも遅れると4月入学などに間に合わなくなり、半年間ほど待たなければならなくなるケースも考えられます。
自分に一番あった選択肢が見つかるように、なるべく早めから準備していくようにしましょう。

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