通信制高校への入学を検討してWEB上で検索する際、時々「サポート校」というワードを見かけることって多いですよね。
「どちらも中身は変わらないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、通信制高校とサポート校は法律的にもかなり異なったものです。
今回は、通信制高校とサポート校の違いを解説していきます。
ぜひ、今後の参考にしてください。
目次
通信制高校とサポート校のそれぞれの特性
通信制高校とサポート校は、一見似ているところもありますが実際は全く違うものですので、間違った捉え方をしないようにしましょう。
まずは簡単に定義をおさらいします。
通信制高校は法律で「高等学校」と認められている
通信制高校は学校教育法という法律で正式に「高等学校」と認められています。
通信制高校は全日制高校とは違って毎日登校する必要はなく、スクーリング・レポート提出・試験における条件を満たして、高校卒業資格を取得するところです。
サポート校は通信制高校の学習を支援するところ
サポート校は通信制高校と違って「高等学校」ではありません。
そのため、サポート校のみでの勉強をしても高校卒業資格は取得できません。
通信制高校に通う生徒に対して、3〜4年で卒業できるように、履修単位の取得支援を行うところですので、サポート校はわかりやすく言えば「塾・予備校」に近いと言っても良いでしょう。
ちなみにサポート校のほとんどが通信制高校と提携しているため、サポート校に入学するときは通信制高校との同時に入学する必要があります。
通信制高校とサポート校の違い
ここからは、通信制高校とサポート校の違いを整理していきます。
学校を運営する機関の違い
通信制高校は「高等学校」なため、私立と公立の2種類が存在します。
私立の場合は学校法人や株式会社が運営し、公立の場合は都道府県が運営しています。
かつては通信制高校においても全日制や定時制が併置されることが多かったのですが、最近では通信制の需要が高まってきたので、通信制高校の多くが独立しています。
サポート校は大手予備校・学習塾・専門学校等、教育系の学校法人および株式会社が運営するケースが多いです。
学習内容の違い
通信制高校は以下の3つを中心に学習を進めます
・レポート提出
・スクーリングへの出席
通信制高校の場合、レポート課題に合格し、一定以上のスクーリングへの出席条件を満たすと、単位認定試験を受けることになります。
3年以上在籍している間に74単位以上取得することで、高校卒業資格を与えられます。
サポート校では主に以下の4つの目的に即した学習を進めます
・専門分野を学びたい
・芸能界デビューしたい
・学校の勉強を基礎から学びたい
サポート校の場合はこれらの目的を果たしてくれることが多いのですが、コースはサポート校によって異なるため、ご自身にとって最適なサポート校を探しましょう。
学費の違い
通信制高校とサポート校の学費について、具体的にご紹介していきます。
通信制高校の学費事情
通信制高校の学費の場合は、公立であれば入学金・受講料は数百円程度、私立の場合はかなり幅があります。
平成29年度の東京の公立通信制高校の場合、入学料は500円、授業料(1単位)は336円、年間学費(25単位の場合)8900円です。
これらに加えて教科書代等も加わりますが、加味しても年間で5〜6万円程度でしょう。
公立高校の授業料は、その多くが東京都と同じと言っていいほどです。
私立通信制高校の場合は公立と違って、学校やコースによっては授業料がかなり異なってきます。
サポート校の学費事情
サポート校の場合は、通信制高校の学費に加えてサポート校の費用が必要です。
費用がかかってしまうのがサポート校を検討する際の迷いどころですが、通信制高校の場合は自主的な学習が必要になるため、3年間独学で卒業できるのはたったの25%だと言われており、挫折してしまう人も少なくはありません。
平均すると年間50万円が相場となっており、通信コースの場合は平均25万円ほどですので、合計して考えると年間で70万円程度になると判断してもいいでしょう。
サポート校に通うメリット・デメリット
通信制高校のみの通学でも単位を順調に取得すれば、高卒資格は得られます。
ただ、サポート校にも通うと次のようなメリット・デメリットがあります。
サポート校に通うメリット
・多彩なコースがある
・高校を卒業したら即戦力になれる力がつく
・高校卒業と同じタイミングで他の資格取得も可能
・就活支援で就活に有利になる
・通信制高校での学習のフォローや進路相談
・メンタルケアを受けられる
通信制高校にはないサポートを受けられるのがサポート校の強みです。
サポート校に通うデメリット
・費用がサポート校の分の授業料が必要
・通学費用がかかる
・サポート校は通学が多いため、プライベートの時間を確保しづらい
・コースによっては違う分野を学びたくても進路変更は難しい
職業を限定しないコースであれば特に問題はありませんが、調理師などの専門的なコースを選択すると、途中で他分野を学びたくてもそれ以前の学習を活かせないことがあります。
そうなると収めた授業料などの費用がもったいないですよね。
入学した時点、コース選択の時点で、なるべく無駄のないような選択をするよう心がけましょう。
サポート校選びの注意点
サポート校の選択においてどうしても気をつけなければならないことがあります。
それは、サポート校と提携している私立学校による行き過ぎた勧誘です。
「サポート校にも通わないと卒業できませんよ」などと過剰に必要性を解くのですが、サポート校には通わずに私立通信制高校のみ通う生徒の卒業率と、両方通う生徒の卒業率はいずれも9割で大して変わりません。
そこにはビジネス的な思惑が働き、過剰に保護者の方や生徒さんを煽動し、通信制高校と通信制高校に提携するサポート校の両方の学費を頂戴しようと考える可能性もあります。
筆者目線で言うと、もしもあなたが通信制高校には通うことが決まったとして、卒業だけを念頭にサポート校にも通うというのであれば、あまりおすすめはしません。
もちろんサポート校を完全否定することは決してありませんが、予備校や塾ともに徹底的に比較して、ご自身に最適だと判断できるところを選びましょう。
高等学校就学支援金について
高等学校就学支援金は奨学金とは異なって、返済が必要ない支援金制度です。
平成26年から開始されたもので、世帯の所得に応じて、私立高等学校に通うための経済的支援を受けられます。
年間所得額 | 支援金額 |
---|---|
〜3,500,000円 | 192,000円 |
3,500,000円〜5,900,000円 | 173,232円 |
5,900,000円〜9,100,000円 | 115,488円 |
年間所得額が少ないほど高額の支援を受けられ、多いほど少額の支援を受けられます。
かなりの支援を受けられますので、通信制高校とサポート校の両方に通うのであれば、必ず目を通しておくべきですね。
まとめ
ざっくりではありましたが、通信制高校とサポート校の違いがよくおわかりになりましたか。
通信制高校とサポート校の両方に通うとどうしても学費がかかってしまったり、サポート校のみ通っても高校卒業資格を取得できなかったりなど、懸念点はあります。
そのため、資料での比較や経済的支援制度をよく調べて、判断しましょう。
また、サポート校は法律で高等学校と言われていない分、運営が自由になるため、場合によっては生徒へのフォロー・サポートにも差が出てしまいます。
そして生徒ご自身がどんな高校生活、どんな勉強スタイルを望むのかしっかり考えた上で、通信制高校・サポート校の入学を検討しましょう。