公立の通信制高校は卒業率が低い?失敗しない通信制高校の選び方

通信制高校の入学は比較的容易というイメージがありますが、卒業に関してはあまりイメージが沸かないかと思います。
自分のペースで学習を進めることができる通信制高校ですが、卒業率はどれくらいなのでしょうか。
この記事では通信制高校における私立と公立の卒業率の違いや、卒業を確実にするための重要なポイントを解説していきます。

通信制高校の卒業率と退学率は?

全日制・通信制・定時制を合わせた生徒の卒業率は、文部科学省の調査によると年々増加傾向にあります。それに対して退学率は年々減少しており、中途の退学率は約1.5%と低くなっています。
ただ、通信制高校の退学率だけに注目してみると中途の退学者は多くなっているのが現状です。
年度ごとに誤差はありますが、通信制高校では毎年約20%の学生が卒業することができず、中途退学しているという結果になっています。
この数字が示している通り、通信制高校では全日制や定時制に比べると卒業率が低くなっているという事実があります。

私立と公立の卒業率の違い

通信制高校には「公立」と「私立」の2種類があります。卒業率の低さは特に「公立」の通信制高校で顕著に表れています。
平成27年の学校基本調査を見ると、私立の通信制高校を中退した生徒は全体の14%程度です。
一方、公立の通信制高校を中退した生徒は全体の約42%となっています。これは入学者数に対しておよそ3人に1人以上の割合で卒業することができていないということを示しています。
このように同じ通信制高校でも公立か私立かの違いで卒業率は大きく異なっています。

通信制高校を卒業できない理由

まずは通信制高校を卒業するための条件を確認しましょう。
• 学校に3年以上在籍すること
• 合計74単位以上取得すること
• 特別活動に30単位以上参加すること
これらの条件を満たすことができれば通信制高校を卒業し、高卒資格を取得することができます。
これだけみると通信制高校を卒業することはそこまで難しくないように感じます。しかし実際には途中退学をしてしまう生徒が多くなっています。
では、通信制高校を卒業できず退学してしまう生徒が多い理由はどのようなものがあるのでしょうか?

自宅学習で挫折してしまう

通信制高校を卒業するための条件の一つに「合計74単位以上の取得」があります。
この卒業に必要な単位を取得するためにはレポートを提出し、先生の添削指導などを受けることが必要になります。
このレポート提出の課題は比較的簡単な内容のことが多く、それほど難しいものではありません。
また、通信制高校では「自宅学習」が基本です。そのため、このレポートの提出課題を一人で計画的に進めていく必要があります。
自宅学習には自分の好きな時間に自分のペースで学習を進めることができるというメリットがあります。しかし、自分に甘い人にとってこの「自宅学習」が落とし穴となるのです。
自分に甘い人はついつい「今日はやる気が出ないから明日やろう」と考えてしまい、学習計画を先延ばしにしてしまいます。
先延ばしにした分が1日や2日ならまだ挽回できますが、それ以上溜めてしまうと次第にやる気がなくなり学習意欲が弱まっていきます。
このような怠け癖がつくと、結果的に卒業に必要な単位を取得することができず、卒業することが難しくなってしまうのです。

スクーリングなどの時間を取れない

卒業に必要な単位を取得するためには、学校が指定する日程に登校する「スクーリング」が必要です。
スクーリング日には学校で先生から直接指導を受けたり、他の生徒と一緒に授業を受けたりします。
しかし人に会うのが不安という人や学校行事以外の活動が忙しい人などはなかなか登校することができず、スクーリングを受けられないというケースがあります。
このようにスクーリングなどの時間が取れなくなってしまい、卒業が難しくなってしまう人も多いです。

目標を先延ばしにしてしまう

通信制高校では3年以上かけて74単位を取得すれば卒業することができます。そのため、通信制高校には「留年」という概念がありません。
これは通信制高校のメリットともとらえられますが、同時に卒業を阻む障壁となる場合があるのです。
レポート提出の課題と同様に、「来年多めに単位を取得すればいいや」と考えてしまい、なまけ癖がついてしまう人が多いのです。
そうなると単位の取得がどんどん先延ばしになるので、結局卒業することができないという状況になってしまいます。
そのような事態にならないためにも、一年間で取得するべき単位数の目標を定めるようにしましょう。単純計算でも1年間で25単位以上取得できれば3年間で卒業することが可能です。
一年で取得するべき単位数の目標を定め、先延ばしすることなくしっかりと学習に取り組んでいきましょう。

通信制高校の卒業を確実にするためには?

通信制高校では生徒の卒業のためにさまざまなサポートをしてくれます。
卒業を確実にするためには学校と協力して学業に取り組んでいくことが大切です。
ここからは通信制高校の卒業を確実にするための具体的な方法を紹介していきます。

自分のスタイルに合った学校を選ぶ

最近では週に3日~5日程登校するスタイルの通信制高校が増えてきています。
ほぼ毎日通学する必要があるという点では全日制高校と似ています。ただ、学校のカリキュラムが大きく異なり、授業時間などを自分で選択できるケースが多いです。
このように週に数回通学することで怠け癖がつくことなく卒業を目指すことができます。
また、通信制高校の中には特定の専門分野に力を入れているコースを設けている学校があります。自分の学びたい専門科目を履修することで楽しみながら卒業を目指すことができるのです。

タブレット端末・スマホによる授業を活用する

タブレット端末を利用した授業を取り入れている通信制高校も存在しています。
スマホやタブレット端末を使った授業なら机に向かい勉強に取り組む必要もなく、自分のスタイルで気が向いたときに学習を進めることができます。
また、動画の授業ならば見逃したり聞き逃したりした内容を何度でも再生して確認することができます。
さらにそのままインターネットを利用してレポートの提出などができる学校もあるので、無理なく気軽に学習を進めていくことができるでしょう。

一人で悩まず先生に相談する

通信制高校を確実に卒業したいと考えるなら、レポートやスクーリングの計画を立て、しっかりと実行していくことが重要です。
しかし、自分一人で上手に計画を立てるのは想像以上に難しく、単位取得を挫折してしまう原因となってしまうケースが多いです。
このような事態を避けるために、通信制高校では先生が生徒一人ひとりに合わせた学習計画を立ててサポートしてくれる体制が整っています。
通信制高校の指導は少人数制でおこなっていることが多いので、全日制高校に比べても生徒一人ひとりへのサポートが手厚です。特に私立の通信制高校ではこのような傾向が強いので、ぜひ学校の先生に相談して一緒に計画を立ててもらうようにしましょう。

通信制高校の選び方は?

確実に卒業をしたいと考えるならば、通信制高校の選び方も慎重におこなうべきです。
ここからは通信制高校の選び方についてのポイントを解説していきます。

資料だけで決めず学校見学に足を運ぶ

これは多くの人がやってしまいがちなことですが、資料請求によるパンフレットを見ただけで学校を決めるのはやめましょう。
パンフレットはあくまで情報源の一つにすぎません。
通信制高校の実態や質の高い情報を入手するには、パンフレットなどの資料だけに頼るのではなく、必ず学校説明会や学園祭などに参加して学校まで足を運ぶようにしましょう。
パンフレットに載っている雰囲気と実際の雰囲気は違うこと場合が多いので注意が必要です。

通信制高校に通う目的をはっきりさせる

通信制高校に通う場合には、なんのために学校に通うのかという「目標」を明確にしておくことをおすすめします。
全日制高校に通っている大半の人は何のために学校に通うのかという目標は意識していません。なぜなら全日制高校の場合は決められた学習カリキュラムに沿って通学していくだけで大半の人は卒業できる仕組みになっているからです。
一方、通信制高校の場合は決められたカリキュラムはなく、自分で計画的に学習を進めていかなければなりません。
そのため通信制高校の場合は、何のために通うのかという「目標」が明確になっていないと学習意欲がわかず単位が取得できないという事態に陥ります。
しっかりと将来の目標と照らし合わせてなぜ通信制高校で卒業資格を取得したいのか考えてから通信制高校を決めるようにしましょう。

卒業率の高い通信制高校を紹介

ここからは通信制高校の中でも比較的卒業率の高い学校を紹介していきます。

飛鳥未来高校

「飛鳥未来高校」は奈良県に本校を置く広域通信制高校の一つです。
三幸学園グループが運営している通信制高校で、多様な学習コースが設けられているのが特徴的です。
飛鳥未来高校は有名大学への進学実績が多くあります。また、専門分野を勉強するために専門学校へ進学する人も多く在籍しています。
将来の目標に向けて進路選択の相談を徹底しておこなっている学校なので、進路決定率が90%以上と非常に高いのも魅力の一つです。

ルネサンス高等学校

「ルネサンス高等学校」全体の卒業率が90%を超えており、非常に高い卒業率を誇ります。
スクーリング日数も他の通信制高校と比べて少なく、年に数日程度のスクーリングで卒業することが可能となっています。
また、進学率も非常に高く有名大学の合格実績も多く持ちます。自分の興味に合わせた専門分野を学ぶことも可能なので、生徒からの満足度が高い通信制高校となっています。

鹿島学園高校

「鹿島学園高校」は茨城県に本校を置いている広域通信制高校です。
全日制高校として知られていますが、通信制過程のカリキュラムも用意されています。
生徒一人ひとりの興味に合わせて学ぶことを選択できるのが鹿島学園高校の魅力です。美容、ファッション、ネイルなどの専門分野を選択して学ぶことができます。
さらに、大学受験のサポートにも強みがあるのも特徴的です。国公立・私立大学ともに有名大学の進学実ブレット端末による授業を活用する実績があるため人気の通信制高校となっています。
学費に関しても比較的安く、進路や学習のサポート体制が整っているので非常におすすめできる通信制高校の一つです。

N高校

「N高校」は角川ドワンゴが運営する広域通信新制高校です。
角川ドワンゴはインターネットサービスを手掛ける会社なので、N高校もネット学習システムが非常に充実しているのが大きな特徴です。
部活動でもネット部が存在しており、プログラミングのスキルなども日々高めていくことが可能です。
また、学費に関しても年間で7万円程度と日本でもトップレベルの安さとなっています。
生徒の全体的なレベルも非常に高いと評判の通信制高校です。今後も期待できる通信制高校ということができます。

卒業を確実にするおすすめサポート校を紹介

通信制高校の卒業に関して心配を抱えている人にとって強い味方となるのが「サポート校」の存在です。
通信制高校と併せてサポート校にも通うことで卒業率を確実に上げることができます。
ここからはおすすめのサポート校をご紹介します。

東京国際学園高等部

「東京国際学園高等部」卒業率が90%を超えているサポート校で、数多くの生徒の卒業をサポートしています。
専門科目の種類も豊富でそれぞれのコースでプロによる本格的な指導を受けることができます。
さらに、大学進学にも力をいれており難関大学の進学実績も多数あります。

KTC中央高等学園

「KTC中央高等学園」では生徒の卒業率が98%を超えており、多くのサポート校の中でも高い卒業率を誇ります。
通学コースも3種類から選択することが可能なので、自分の生活リズムや健康状況に合わせることができ負担が少ないです。
また、担当教師に関しても自分と相性の良い担任を選ぶことができるので、モチベーションを保ちつつ卒業を確実に目指すことができます。

おわりに

通信制高校の卒業率が低くなっているのは事実としてありますが、卒業のための条件は難しいものではありません。
通信制高校の卒業に大切になってくるのは自分の傾向をしっかりと把握し、向き合うことができるかどうかです。自分の傾向を把握し、自分に合った通信制高校を見つけることができれば卒業できる確率をグンと上げることができます。
人との関わりに不安を抱えている方はスクーリング日数が少ない通信制高校を選択すると良いでしょう。面倒くさいことや嫌なことを先延ばしにしてしまう癖がある方は、サポート校などを利用すると良いでしょう。
ぜひ自分に合った通信制高校やサポート校を見つけて、卒業を目指していきましょう!

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